2023年7月19日、東北6日目
「奇跡は続くのか」
18日夜、ホテルにつき明日の計画を考えるため雨雲レーダーや複数の天気予報を見ていた。宮城・岩手は一日中雨、福島は朝7時までは曇りその後雨。
僅かな可能性にかけ早朝5時出発で6時位につけば一本は曇りで撮影できるかもしれないと考え、眠りについた。
早朝5時起床、カーテンを開けると土砂降り模様。沈んだ気持ちを抑えダメ元で福島の地へ車を走らせた。仙台から1時間で万正寺の大カヤに到着できる。福島に入ればもしかしたら雨が止むかも。そんな淡い期待は前日までと称名寺の奇跡的な体験からだろう。
コンビニで軽く朝食を済まし、万正寺の大カヤへ向かうと到着1分前に雨は止んだ。
これだけ巨木に到着すると雨が止むことは、今までも経験あったが一日に連続で巨木をまわることが然程多くないし悪天候ではそもそも出向かない。
想像以上の天気にテンションが上がるというような軽いものではなく、目に見えない存在を感じるほどになっていた。
天候の回復に例のごとく急いで準備し撮影を開始した。
日本一のカヤを相手だが構図など悩んでいる時間はない。兎に角、その巨木の良い表情を探し撮影していった。
万正寺の大カヤ ←詳細はこちら
流石は日本一のカヤ、樹冠が大きく広がり見事だ。年数を刻んだ幹も実にかっこよく巨木好きを満足させる素晴らしさだ。カヤの実もたくさんついていていい時期にこれた。
40分程、ぐるぐる回りながら撮影し車に戻った。
ここで思った。車に乗り込んだらまた雨が降るのでは?そう思い動画を撮り始めると、車の天井から天板に当たる雨音が聴こえた。ポツポツポツとフロントガラスに雨がつき、乗り込んで数秒で雨が降り始め1分後には土砂降りに変わった映像が撮れた。
全身に鳥肌が立つ。
これは紛れもなく、巨木が雨を止めてくれているか、自分の旅を見守り応援してくれている神的な存在の力が働いている。と確信に変わっていった。
スピ系のような話になり、求めない人も多いかもしれない。
ただ、感じたままを書いていく中で、この天候がこの旅や出版にとってとてつもなく大切なキーポイントになっていることはご理解いただけたらと思う。出版のことを考えると折角の素晴らしい巨木も、大雨だと伝わらない写真になったり。ピントのあまい写真。暗い写真が続くというのは避けたいところだ。
巨木図鑑は北海道を筆頭に東北、関東という順番で構成される予定の中で、最初の方に雨写真ばかりだというのは正直良いとは言えない。といって何度も足を運べるほど時間に余裕はない。
なのでどうしても外せない巨木は何時間でも良い天候を待つくらいの覚悟が必要となっている中で、「どうぞ撮影してください」と言わんばかりに雨が止むのは、この上なくありがたいことだと感じる訳です。
この時、行くか迷っていた岩手方面を見ると雨雲レーダーは赤と濃い青の分厚い雲が全土を覆っていた。前日の判断が福島でよかった。雨の中突撃してよかった。たくさんの良かったに包まれ、次の目的地へと向かった。
このような感覚になってくると、やたら近いトイレ、通行止めで迂回、やたら遅く走る前方の車、それらで時間を取られる感覚ではなくなり、全てが天候の時間調節にも感じてくる。
ポジティブ思考なのかもしれないが、全てが出来過ぎた状態には多少のトラブルが効いているので流れるように身を任そうと考えるようになっていた。
杉沢の大杉 ←詳細はこちら
杉沢の大杉は出版の有力候補、福島を代表する名木だ。
敷地は大杉が悠々成長できるような整備が完璧にされて地元愛を感じた。
少し引いて見れるように屋根付きの展望台があったり遊歩道があったりで非常に素晴らしい環境。この大杉では雲の切れ間から少し太陽を感じるほどに明るくなってきていた。
雨が降ると空気中のゴミが落ち、空気が綺麗になり、しっとりと濡れた樹皮は立体感を出し、辺りの草花も生き生きと映る。まさに雨上がりは巨木撮影に向いている。
この日、杉沢の大杉の周りにはアジサイが咲き乱れ巨木とアジサイがどちらも見れてお得な気持ちで撮影できた。
本来なら半日くらい時間を取ってのんびり鑑賞や撮影をやっているところだが、この日、福島を一日で回り切りたいと意気込んでいたので、後ろ髪惹かれる思いでこの地を後にした。
巨木図鑑 出版の裏話12 東北編 へ続く
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