
隠家森 詳細
| 読み方:かくれがのもり |
| 文化財文化財指定:国指定天然記念物 |
| 学名:Cinnamomum camphora |
| 選定歴:日本巨木ランキング第9位 |
| 根廻:35.4m |
| 樹齢:伝承1500年 |
| 樹高:21.0m |
| 幹周:18.0m |
| 施設:なし |
| 住所:福岡県朝倉市山田97 |
| 難易度:★★☆☆☆ |
| 樹勢 :★★★☆☆ |
| 撮影日:2022年4月23日 |







一本の木に、森の名を宿す大楠
福岡県朝倉市山田。
雨の降る中、全国巨木ランキング第9位に入る大楠「隠家森」を訪れました。
読み方は「かくれがのもり」
名前には「森」とありますが、これは一本のクスノキです。
幹周18.0m、根廻35.4m。
樹齢は伝承1500年とされ、国指定天然記念物に指定されている、日本を代表するクスノキの巨木です。
福岡県には、巨木でありながら「森」と呼ばれる木がいくつもあります。
隠家森、衣掛の森、湯蓋の森。
おそらく昔の人たちにとって、これほど大きな木は、一本の木というより「森」と呼びたくなる存在だったのだと思います。
大きく枝を広げ、根を張り、木陰をつくり、人がその下に集まる。
そう考えると、「森」という呼び名はとても自然に感じます。
現在の隠家森は、かつての姿から大きく変わっています。
昭和28年の大水害以降、周囲には家が建ち、環境が変化。
さらに平成3年の台風で大枝が折れ、樹勢が衰えていったそうです。
その後、平成18年から腐朽部の除去などの治療が行われ、現在は回復傾向にあると案内板に記載されていました。
実際に見ると、大枝を失った跡がはっきり分かります。
右側が平らになったような部分があり、そこにかつて大きな枝が伸びていたことを想像させます。
幹もえぐれ、完全な姿とは言えません。
それでも、残された枝だけでも迫力は十分です。
根元は大きく広がり、地面をつかむように張り出しています。
今の地形を見ると、昔はもう少し高い位置まで土に覆われていたのではないかとも感じました。
長い年月の中で、土が削られ、根が露出し、今の姿になっていったのかもしれません。
印象的だったのは、昭和初期の白黒写真です。
そこには、現在よりもさらに雄大だった隠家森の姿が残されていました。
大枝を大きく広げ、まさに「森」と呼ぶにふさわしい姿。
その写真を見ると、今の隠家森は少し痛々しくも感じます。
けれど同時に、水害や台風を越え、治療を受けながらなお立ち続けている姿には、失われたもの以上の重みがあります。
巨木は、ただ大きく美しいだけではありません。
折れた枝、えぐれた幹、露出した根。
そのすべてが、この木が生きてきた時間の痕跡です。
隠家森は、かつての雄大さを失いながらも、まだ終わっていない木でした。
これから少しずつ樹勢を取り戻し、将来にはまた、巨大な根と幹が遺跡のような迫力を増していくのかもしれません。
一本で森と呼ばれた大楠。
その名の意味を、今も静かに残している巨木でした。
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