
川棚のクスの森 詳細
読み方:かわたなのくすのもり |
指定区分:国指定天然記念物 |
学名:Cinnamomum camphora |
樹齢:300年以上 |
樹高:21m |
幹周:11.2m |
施設:駐車場・トイレ |
住所:山口県下関市豊浦町川棚 |
難易度:★★☆☆☆ |
樹勢 :★★★☆☆ |
撮影日:2023年9月17日 |






瀕死の状態から蘇る生命力あふれる奇跡の木
2017年、川棚のクスの森が枯れたという今でも記憶に残るショッキングなニュースが耳に飛び込んだ。川棚のクスの葉が落ちて枯れる寸前というニュースだった。
枝張りは東西に58m、南北53mもあるクスノキをひとめ見たいと思いを募らせていたが、山口県が遠く感じていて中々行けていなかった。いつか行きたい!いつか行こう!と思っている間に枯れてしまった。
まだ完全に枯れた訳ではなかったが、かなり厳しい状態で写真を見た時、自分が知っている元気で雄大な姿はそこにはなかった。
元気な時に会いたかったし、ずっといつでも見れると思っていた。
ハッキリと覚えているのは、川棚のクスの森の枯れたニュースを知ってから、「いつまでもあると思うな」「急がないと枯れてしまったらもう見れない」と、そこから巨木を巡る速度と量が年々加速していったことだ。
弱った姿は胸が痛んで写真も見れなかった。でも完全に枯れる前には見ておきたい。そんな葛藤をしながら数年が経ってしまった。
樹勢はどうか?とたまに調べるくらいでしたが、また驚く記事を見ることとなる。「胴吹きしていきている!」それもかなりの胴吹きだ!
もしかしたら、復活してきたのか?
情報を掘っていくと、これまた知りたくなかった情報が入ってきた。
正確性はわからないが、以下の線が有力だと思っています。
以下
「2017年7月から急激に枯れ始め枝に葉がつかなくなり、樹木医により5段階ある健全度等級のうち下から2番目の「 衰退度Ⅳ(著しく不良)」と診断された。
その後の調査と対策により、ほぼ根は腐っておりわずかに胴吹き芽だけが生えている状況となっている。公園化のための盛り土工事が根への酸素の供給を絶ち、樹勢に決定的な悪影響を与えた可能性が指摘されているが、下関市は枯れた原因は不明としている。環境の急激な変化による根茎への致命的影響を避けるため盛り土の除去も不可であるという。」(Wikipediaより引用)
天災や寿命ではなく、枯れた原因は人であり人災だというのだ。
もちろん故意ではないことはわかる。大切な観光資源ということもわかる。それを整備して更に人を呼び込もうとしたのだろう。
でも人が、これほどの巨木の生命を危機にさらしてしまったのだ。何ともやるせない気持ちになった。
そして2023年9月17日に川棚のクスの森に立った。この日は珍しく小雨が降っていた。
いつもみたいにはしゃぐことも、すぐにカメラを向けることもなく、ただただ立ち尽くしていた。深い悲しみと良かったという安堵の感情が同時に押し寄せ心を揺さぶっていた。ゆっくり歩いてクスノキを眺めた。大枝はぶつ切りにされ横たわっている。胸が痛い。たくさんの枝葉を失いはしたが、何とか復活の兆しが見える様子だった。ほんと良かった。本当によかった。そしてすみませんでしたと頭を下げた。
こんな気持ちで写真が撮れるだろうか・・・
でもこの生きようとする姿の記録、復活への姿を収めようと思い数枚だけ写真を撮影した。
湿っぽい話になってしまいましたが、このクスノキが巨木巡りを加速させてくれた鍵となる巨木であり、倒木や枯れることもあると肝に銘じさせてくれた巨木でもあり思い出の一本となっている。
また晴れた日に元気な姿を見に行きたい。
その時はもう少し晴れやかな気分で見れるかもしれない。
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